ドクターコラム〜帝京大学医学部皮膚科主任教授 渡辺晋一先生にお伺いしました。〜
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渡辺先生インタビュー 皮膚は守りの要
皮膚はどんな働きをしているの?
図1,図2 図1図2
皮膚の主な働きは、外からの微生物、化学物質、紫外線などの物理的刺激から、からだを守ること。体液の蒸散を防ぐという働きもあります(図1)。

また、皮膚に生えている毛の根元には「皮脂腺」という油分を放出する腺があります。この皮脂腺からでる油が皮脂膜として皮膚を覆って守ってくれているばかりでなく、水分の流出を防ぐ働きも担っているのです。

皮膚の最も外側には、角質細胞からなる角質層があります。角質細胞の中には、天然保湿因子(ナチュラルモイスチャライジングファクター)があり、これが水をひきつけてためこみ、うるおいを保っています。さらに角質細胞のまわりには細胞間脂質という油分が覆い、さらにその上を皮脂膜という油で覆い、水分の蒸散を防いでいます。これが、角質層の保湿メカニズムです。

乾燥肌、敏感肌、アトピー性皮膚炎について
先生写真
角質層の保湿メカニズムがくずれると、体の中の水分を保つことができずに角質層がボロボロの「乾燥肌」の状態になります。乾燥肌は、外からさまざまなアレルギー物質が入ってきやすい状態。湿疹や肌荒れを防ぐために保湿が必要です。

一方、「敏感肌」は医学用語ではなく、明確な定義はありません。しかし広く使われている言葉で、国民の半数以上が自らを敏感肌と意識しているほど。角質層がざらざらし、外部からの刺激に過敏になった肌を、「敏感肌」と呼んでいるのではないでしょうか。

敏感肌と称する人の肌は、かぶれや乾燥などが見られることが少なくありません。皮膚科の病名に置きかえると、アトピー性皮膚炎、湿疹、老人性乾皮症といったところでしょう。

アトピー性皮膚炎の病態は十分解明されているわけではありませんが、角質層の異常により、バリア機能が破綻して、皮膚の乾燥などが生じている状態のこと。同時に、特異的アレルギー反応が関与すると言われています。つまりアトピー性皮膚炎は、バリア機能異常とアレルギー反応がミックスした病態と言えます。

アトピー性皮膚炎治療の原則
アトピー性皮膚炎の場合、アレルギー症状に対してはステロイドなどの外用薬、バリア機能異常にはスキンケアや保湿剤といった、二本立ての治療が有効です。ステロイドには効果が強いものから弱いものまでいろいろなタイプがあるので、まずは炎症をしっかり抑えることができる強いものを使用し、炎症がおさまったら徐々に弱いものに切り替えていくということが治療の原則になります。

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