ドクターコラム〜帝京大学医学部皮膚科主任教授 渡辺晋一先生にお伺いしました。〜
ドット ドット
インターネットなどで気軽に情報が入手できる現代社会。乾燥肌によるちょっとした皮膚炎などは「医者にいくほどでもないし…」と、自己流でケアをしていませんか。 今回、渡辺先生に専門家の視点でお肌に関する「正しい知識」についてお話を伺いました。
渡辺先生インタビュー お肌にベストなケアって?
お肌のケアにはまず洗浄?
先生写真
お肌をいつも清潔にしておくために、毎日の洗顔や入浴は欠かせないません。しかし肌の状態は加齢ともに変化していくのでとにかく洗えばいいというわけではなく、年齢に合わせたケアをする必要があります。若い人は皮膚の表面をカバーする脂の膜がたっぷりありますから、こまめに洗顔や入浴をしても大丈夫。汗や汚れをしっかり洗い流すようにしましょう。ところが高齢になると皮膚表面の脂の分泌量はぐっと少なくなるので、洗いすぎると、もともと少ない脂の膜がさらに取れてしまうことになります。高齢の方の入浴はやや控えめにしてください。お風呂に何回も入りたい、お仕事の関係で頻繁に入浴する必要があるという方は、保湿剤でスキンケアをしたり加湿器を使ったりしてお肌を乾燥させない工夫をしてください。
お肌にトラブルがあるときは、
洗ったほうがいいの?そっとしておいたほうがいい?
からだの一番外側にある皮膚は、外敵からからだを守るバリア機能を備えています。ところがアトピー性皮膚炎の人の肌や乾燥気味の肌は本来のバリア機能が低下し、外からの刺激に対して敏感な状態になります。アレルギーの原因となる汚れやホコリを肌につけたままにしないよう、いつも清潔にしておくことがたいせつです。とはいえあまりゴシゴシ洗いすぎると、逆にバリア機能を低下させてしまうことも。その兼ね合いがとても難しいと言えるでしょう。
引っかき傷は消毒が必要?
皮膚にかゆみがあるとどうしても掻きたくなり、引っかき傷を作ってしまうことがあります。浅い傷なら、滅菌蒸留水や生理食塩水などで洗い流せば大丈夫です。水道水でもかまいません。消毒用アルコールを使うと刺激が強いので、むしろ肌荒れを起こしてしまうこともあります。傷が深かったり、広範囲にわたっている場合には、早めにお医者さんに相談してください。
紫外線はお肌に悪いの?
降り注ぐ太陽には健康的なイメージがありますが、日差しに含まれる紫外線は肌トラブルの大きな原因になっています。紫外線を浴びたお肌は老化が進んでしみやしわができやすくなるばかりでなく、皮膚がんを生じさせたり、免疫機能を低下させたりすることもあります。健康と美容のために、できるだけ紫外線を避けるように心がけましょう。一年のうち春先から夏にかけては紫外線の量が増える時期で、夏至の前後は最も強くなります。こうした時期の外出は、できれば紫外線量が比較的少ない朝や夕方を選び、正午を挟んだ前後2時間は避けるようにします。日傘や日焼け止めなどでしっかり紫外線対策をしてから出かけましょう。
しかし紫外線の中にはいい作用をもつものもあり、アトピー性皮膚炎の治療などに用いられることもあります。しかしこれは治療用の特殊な紫外線なので、日光浴をすればアトピー性皮膚炎が治るというものではありません。
ストレス、睡眠不足はお肌によくない?
健康なお肌を保つために、ストレスをできるだけ少なくしたり、睡眠もたっぷりとるのはとても大事なことです。しかしすでにお肌のトラブルを抱えている場合、こうした努力によって炎症の悪化を抑えられる可能性はありますが、症状自体を改善することができるとまでは言い切れません。そもそもストレスを少なくすること自体、とてもむずかしいことです。お肌のために、すぐ取り組める「簡単スキンケア」から始めてみてください。清潔な衣類を身につける、衣類の摩擦をできるだけ減らすようにするといったことを心がけるだけでも、お肌の健康にプラスになるはずです。
ドット ドット
前のコラムへ